2名の学生が長期研修としてモスクワ大学(MSU)に派遣されました。派遣期間は9月19日~12月14日でした。

一名は、本学の自身の学位論文テーマ遂行に資するテーマを実施することとし、自分の研究素材酵素タンパク質の「シミュレーションを用いたタンパク質の相互作用に関する解析」を行いました。派遣中に得られたデータは、自らの博士課程研究に利用でき、さらに学生にとって新たな研究手法を身に着けることができたことから実りの多い派遣となりました。

もう一名の学生は、自らの研究の幅、理解を広げることを目的として、本学で実施している研究(微生物研究)領域ではない、マウスを用いた研究をあえて選択し研究を実施しました。領域のスパンが拡大でき、またMSUの研究環境を理解する貴重な経験となりました。

 

学生の声①

・私は本プログラムに参加してよかったと実感している。現地での生活を通してロシアという国を身近に感じている。学術、人間性、文化、気候、どれをとっても新鮮であった。これらの経験を通して、信頼関係の効果と自分の無知さを自覚し、今後どんな環境でも成果をだしていく人材となるために必要な要素について学ぶことができた。

異なる環境で生きることが自分の考え方、生き方を改めて見つめる貴重な経験になった。3ヵ月異国で活動することで視野が広がり、海外への不安が自信へ変化した。研究において、科学の真理を発見する行為には国境がないことを実感し、研究というグローバルな仕事に誇りを持つことができた。卒業後は、異国問わず研究を続け、新発見により社会や日本の役に立ちたいと考えている。それは、ロシア、カザフスタン、イラン、ヨーロッパ諸国など多様な国籍が集まるモスクワ大学の学生との対話を通して、自国への愛国心と志の高さに感動したからである。私は生物と研究という行為が好きであり、誇りをもっている。今回の経験が今後のキャリアを考える上で役に立つだけではなく、新たな友好関係を築くことができたかけがえのない研修であった。本プログラムを支援してくださったすべての人に感謝を伝えたい。

学生の声②

私はこれまで微生物を用いた研究をおこなってきたので、今回の留学では新しい分野の研究に挑戦した。とくに哺乳類の細胞や生体をあつかうことは、初めてだったので良い経験になった。生命科学という領域であれば異なる材料を用いても、その扱い方さえ学べば違う分野の研究でもできると感じたし、あまり今の分野に固執してキャリアを考える必要はないとも感じた。

一方で、海外で研究を行うことの大変さを身にしみて感じた。一番苦労したのは研究環境である。まず、渡されたプラスミドの多くがリファレンスと異なった配列であったし、当初予定していたハダカデバネズミの臓器サンプルは共同研究先から提供されなかった。また、使用したインキュベーターは当初設置されておらず、使用できるようになったのが、帰国3週間前のことであった。

言葉については自分が考えているよりも困らなかった。ロシア人は私の煩雑な英語でも話を聞いてくれたし、聞き返しても丁寧に言い直してくれた。海外の人たちとコミュニケーションを取るためには英語力がもちろん重要ではあるが、コミュニケーション能力や相手の文化や習慣を尊敬し受け入れるような姿勢などのほうが重要であると感じた。